相撲の世界には、さまざまな伝統と習慣がありますが、その中でも「さがり」は重要な役割を果たしています。
この記事では、「相撲のさがりの作り方」に関する詳細な情報を提供します。
さがりの材料や製作工程、そしてその歴史的背景について詳しく解説します。
さらに、幕下力士と関取のさがりの違いにも触れます。
初めてさがりについて学ぶ方でも理解しやすいように、分かりやすく説明していきます。
相撲観戦がさらに楽しくなる知識を身につけてください。
【記事のポイント】
- さがりの材料と具体的な製作工程
- さがりが相撲で使用される目的と役割
- 幕下力士と関取のさがりの違い
- さがりの歴史とその文化的背景
相撲のさがりの作り方とその工程
相撲のさがりは、見た目以上に手間のかかる工程を経て作られています。まず、さがりの材料として使われるのは絹の糸です。この糸を束ねて、一本一本丁寧に仕上げていきます。
最初の工程では、さがり用の糸を熱湯に浸して柔らかくします。これにより、糊が溶けて糸がほぐれやすくなります。次に、糸を乾かしてから、糊を塗ります。糊には海藻が原料の布糊を使います。これをしっかりと糸に塗り込み、乾燥させます。
乾燥が終わると、糸が硬くなり、さがりの形が整います。この時点で、余分な糊を落としながら形を整えることが重要です。さがりの先端を親指で押さえて形を作るのもこの段階です。
最後に、完成したさがりを乾燥させてから、先端を丸く切り整えます。これで一本のさがりが完成します。関取用のさがりは、この工程を一本ずつ手作業で行い、合計13本前後を作ります。さがりは場所中の激しい取組で折れることもあるため、予備を含めて複数本作成するのが一般的です。
相撲のさがりは何のためにつけるのか
相撲のさがりは、力士のまわしの前に垂れている紐状のものです。これは単なる装飾ではなく、いくつかの重要な役割を果たしています。
まず、さがりは力士の局部を隠すためにつけられています。取組中にまわしがずれてしまうことがあり、その際に局部が見えないようにするための予防策です。実際にまわしがずれたとき、さがりが役立つ場面もあります。
次に、さがりには伝統的な意味もあります。さがりは、江戸時代に使われていた化粧まわしの名残とされており、歴史的な背景を持っています。当時の化粧まわしは豪華で大きなものでしたが、現在のさがりはその一部として残されています。
また、さがりは縁起を担ぐ意味もあります。さがりの本数は奇数であることが一般的で、日本では奇数が縁起が良いとされています。例えば、力士の体格に合わせて13本や15本といった本数で作られますが、いずれも奇数です。
さらに、さがりは力士の地位や格を示すものでもあります。幕下以下の力士と十両以上の関取では、さがりの素材や作り方が異なります。関取のさがりは布糊で固められているため、取り組み中もピンと立っていますが、幕下以下の力士のさがりは柔らかいままです。
このように、さがりは実用的な役割とともに、歴史的、文化的な背景を持った重要なアイテムです。相撲観戦の際には、さがりにも注目してみると、さらに楽しめるでしょう。
相撲のさがり:幕下と関取の違い
相撲のさがりには、幕下力士と関取の間でいくつかの違いがあります。この違いは力士の地位や格を示すものとして、相撲界では非常に重要な要素となっています。
まず、幕下力士のさがりについてです。幕下の力士は、綿の紐を使ってさがりを作ります。このさがりは布糊で固められておらず、柔らかい状態のままです。そのため、取り組み中もさがりが垂れた状態になります。色については特に決まりはなく、自由に選ぶことができますが、一般的には黒や白が多いです。
一方、関取のさがりはより高級な素材で作られています。関取のさがりは絹の糸を使い、布糊で固められています。これにより、さがりはピンと立ち、取り組み中も形を保つことができます。さがりの色は基本的にまわしと同じ色に統一されており、統一感があります。また、関取のさがりは一本一本が非常に手間をかけて作られており、場所ごとに新しいものが用意されることもあります。
このように、幕下力士と関取のさがりは、素材や作り方、見た目に大きな違いがあります。この違いは、力士の地位を象徴するものであり、相撲界の伝統と格式を反映しています。相撲を観戦する際には、さがりにも注目することで、より深く相撲の世界を楽しむことができるでしょう。
大相撲におけるさがりの役割
大相撲において、さがりは単なる装飾品ではなく、重要な役割を果たしています。その役割は複数あり、それぞれが相撲の伝統と実用性に基づいています。
まず、さがりの主な役割の一つは、力士の局部を隠すことです。取り組み中にまわしがずれることがあり、その際に局部が見えてしまうのを防ぐためにさがりが使われます。この機能は、力士が安心して取り組みに集中できるようにするための重要な要素です。
次に、さがりは相撲の伝統を象徴するものでもあります。さがりは江戸時代の化粧まわしの名残として残されており、歴史的な背景を持っています。化粧まわしは当時、豪華で大きなものでしたが、現在のさがりはその一部が継承された形となっています。
さらに、さがりは縁起を担ぐ役割も持っています。さがりの本数は奇数で作られることが一般的で、日本では昔から奇数が縁起が良いとされています。このため、力士のさがりも奇数で作られ、縁起を担ぐ意味が込められています。
最後に、さがりは力士の地位や格を示すものでもあります。幕下以下の力士と十両以上の関取では、さがりの素材や作り方が異なります。関取のさがりは布糊で固められているため、取り組み中もピンと立っていますが、幕下以下の力士のさがりは柔らかいままです。この違いは力士の地位を示すものであり、相撲界の厳格な階級制度を反映しています。
このように、大相撲におけるさがりは多くの重要な役割を果たしており、相撲の伝統と実用性を兼ね備えた重要なアイテムです。観戦時には、さがりの役割にも注目してみると、さらに相撲の世界を深く理解できるでしょう。
相撲の化粧まわしとさがりの関係
相撲の化粧まわしとさがりには、深い関係があります。化粧まわしは、力士が土俵入りの際に締める豪華な装束であり、通常は関取が使用します。この化粧まわしには、さがりが付いているのが特徴です。
化粧まわしは、力士の地位や所属する部屋、支援者の名前などを表すために、色鮮やかで美しい刺繍が施されています。このような化粧まわしを身に着けることで、力士はその格式や由緒を示すことができます。
さがりは、この化粧まわしの一部として存在しており、力士のまわしの前に垂れ下がる紐状のものです。土俵入りの際には、さがりが揺れることで華やかな印象を与えます。また、さがりにはまわしがずれることを防ぐ役割もあります。
このように、化粧まわしとさがりは一体となって力士の格式や伝統を表現しています。さがりがあることで、化粧まわしの美しさがさらに引き立ちます。観戦する際には、この関係性にも注目してみると、より相撲の伝統を楽しむことができるでしょう。
さがりの歴史と化粧回しの名残
さがりの歴史は、相撲の化粧回しに深く根ざしています。江戸時代、力士たちは現在のようなまわしではなく、化粧回しを身に着けて取り組みを行っていました。この化粧回しには、現在のさがりに相当する部分がありました。
当時の化粧回しは非常に豪華で大きく、刺繍や装飾が施されていました。これにより、力士たちは土俵入りの際に華やかに見えましたが、取り組み中には動きにくく、不便な面も多かったのです。そこで、化粧回しは次第に実用的なまわしへと変化していきました。
その過程で、化粧回しの一部であったさがりは、現代のまわしにも取り入れられる形で残りました。さがりは、化粧回しの名残として、現在でも力士たちの装束の一部となっています。さがりがあることで、相撲の伝統や歴史が継承されているのです。
また、さがりには縁起を担ぐ意味も込められています。奇数の本数で作られることが多く、これは日本の伝統において縁起が良いとされるからです。このように、さがりは化粧回しの名残として、相撲の歴史と文化を象徴しています。
さがりの歴史を知ることで、相撲の伝統や文化に対する理解が深まります。観戦の際には、さがりの存在にも注目し、その背景にある歴史や文化を感じ取ることで、より深く相撲を楽しむことができるでしょう。
さがりの材料と製作方法
さがりの材料と製作方法は、力士の階級によって異なります。関取と幕下以下の力士では使用する素材や製作方法が異なるため、それぞれの特徴を理解することが大切です。
まず、関取のさがりに使われる材料は主に絹の糸です。絹の糸を束ねて作り、布糊で固めます。布糊には海藻が原料の布海苔を使用します。この布海苔を熱湯で溶かし、糸に丁寧に塗り込んでいきます。この過程により、さがりは硬くなり、取り組み中もピンと立った状態を保つことができます。
製作の手順はまず、絹の糸を束ねて熱湯に浸し、柔らかくします。次に、糸を乾かしてから糊を塗り、再び乾燥させます。乾燥が終わったら、余分な糊を落として形を整え、先端を丸く仕上げます。この工程を一本ずつ行い、合計で13本前後のさがりを作ります。
一方、幕下以下の力士が使用するさがりは綿の紐で作られます。このさがりは布糊で固められることはなく、柔らかいままです。そのため、取り組み中にさがりが垂れる形になります。色は自由に選ぶことができ、一般的には白や黒が多く使用されています。
このように、さがりの材料と製作方法には階級による違いがあり、それぞれの特徴が反映されています。さがりの製作には手間がかかりますが、力士の伝統と格式を示す重要なアイテムとして、丁寧に作られています。
さがりの本数と体格の関係
さがりの本数は力士の体格に合わせて決められており、一般的には奇数で作られます。これは、日本の伝統において奇数が縁起が良いとされているためです。
通常、さがりの本数は13本が一般的ですが、力士の体格によっては11本や15本といった変動があります。例えば、大柄な力士には本数が多めのさがりが適しており、逆に小柄な力士には少なめの本数が選ばれます。
具体的な例を挙げると、横綱の白鵬は体格が大きいため、さがりの本数も15本に設定されています。一方、軽量級の力士である炎鵬は13本のさがりを使用しています。このように、力士の体格に合わせてさがりの本数が調整されることで、見た目のバランスが取れ、取り組み中の動きにも影響が少なくなります。
また、過去には高見山や小錦のような非常に大柄な力士が、さがりの本数を21本に設定していた例もあります。これは特別なケースですが、体格に応じたさがりの本数の調整がどれほど重要かを示しています。
このように、さがりの本数は力士の体格に深く関係しています。適切な本数を選ぶことで、力士が取り組みに集中できる環境を整えることができます。観戦する際には、さがりの本数にも注目してみると、力士の体格との関係を理解する手助けとなるでしょう。
幕下力士のさがりとその特徴
幕下力士のさがりには、独特の特徴があります。まず、幕下力士のさがりは綿の紐で作られており、布糊で固めることはありません。そのため、取り組み中もさがりは柔らかい状態で垂れ下がります。
幕下力士のさがりは、関取のさがりに比べてシンプルです。色は自由に選べるため、白や黒が一般的に使用されますが、黄色や青などカラフルなさがりも見られます。このように、さがりの色に関しては比較的自由度が高いのが特徴です。
また、幕下力士のさがりは取り扱いが簡単です。布糊で固められていないため、特別な手入れを必要としません。そのため、力士自身が簡単に着脱できる点も大きな特徴です。
このように、幕下力士のさがりはシンプルで取り扱いやすい反面、関取のさがりに比べると見た目の豪華さは控えめです。しかし、幕下力士にとっては実用性が重視されており、日常の稽古や取り組みで十分な機能を果たしています。
さがりの色と素材の違い
さがりの色と素材には、階級によって明確な違いがあります。関取と幕下以下の力士では、それぞれのさがりに使われる素材や色が異なります。
まず、関取のさがりについてです。関取のさがりは主に絹の糸で作られており、布糊でしっかりと固められています。これにより、取り組み中もさがりがピンと立ち、力士の存在感を強調します。色はまわしと同じ色で統一されるため、全体の見た目が非常に整います。
一方、幕下以下の力士が使用するさがりは綿の紐で作られ、布糊で固められていません。このため、さがりは柔らかいままです。色については特に決まりがなく、白や黒が一般的ですが、他の色を使用することも許されています。これにより、各力士が自分の好みや部屋の伝統に合わせて色を選ぶことができます。
このように、さがりの色と素材の違いは力士の階級によって明確に分かれています。関取のさがりは豪華で見た目にこだわった作りになっているのに対し、幕下以下のさがりは実用性を重視しています。この違いを理解することで、相撲の世界の階級や伝統をより深く知ることができるでしょう。
取り組み中にさがりが外れる理由
取り組み中にさがりが外れることはよくあります。これはさがりが取り外し可能な構造で作られているためです。さがりはまわしに固定されているわけではなく、まわしに挟み込まれているだけなので、激しい動きや力のかかる取り組み中には外れやすくなります。
さがりが外れるもう一つの理由は、取り組み中の力士同士の動きにあります。力士はまわしを掴んで相手を引っ張ったり押したりしますが、この動きによってまわしが緩んだりズレたりすることがあります。まわしがズレると、それに挟み込まれているさがりも外れやすくなります。
また、さがりは柔らかい素材で作られていることも外れやすさの一因です。特に幕下以下の力士が使用する綿のさがりは、布糊で固められていないため、取り組み中の動きに対して柔軟に対応しますが、その分外れやすくもなっています。
このように、取り組み中にさがりが外れる理由は、さがりの構造、取り組み中の動き、そしてさがりの素材にあります。さがりが外れても特にペナルティはないため、力士たちはそのまま取り組みを続けます。観戦する際には、さがりの動きにも注目すると面白いでしょう。
さがりに関するエピソードと逸話
さがりにはさまざまなエピソードや逸話があります。これらの話は相撲の歴史や文化をより深く理解する手助けとなります。
まず、有名なエピソードの一つに、高見山と小錦のさがり本数があります。高見山と小錦は非常に大柄な力士であり、さがりの本数も通常より多く、21本もありました。これは他の力士と比べても圧倒的に多く、彼らの体格に合わせた特別な本数でした。
また、日馬富士がさがりなしで取り組みに挑んだこともあります。ある場所で日馬富士が取り組み前にさがりが外れてしまいましたが、そのまま取り組みを続けました。このようなことは非常に珍しく、相手力士や観客を驚かせましたが、結果的には日馬富士が勝利を収めました。
さらに、さがりには縁起を担ぐ意味もあります。例えば、横綱の白鵬は自身の連勝記録に合わせてさがりの本数を15本にしていたことがあります。このように、さがりの本数を自分の目標や縁起に合わせる力士もいます。
このように、さがりにまつわるエピソードや逸話は多岐にわたります。これらの話を知ることで、相撲の観戦がより一層楽しめるでしょう。観戦の際には、さがりに注目し、その背後にある歴史や文化を感じ取ると良いでしょう。
まとめ
記事のポイントをまとめます。
- さがりの材料は絹の糸を使う
- 糸を熱湯に浸して柔らかくする
- 布糊を糸に塗り込んで乾燥させる
- 乾燥後に余分な糊を落として形を整える
- 先端を丸く切り整えることで完成する
- さがりは13本前後を作るのが一般的
- 取り組み中にまわしがずれた際の局部隠しとして使われる
- 幕下力士は綿の紐でさがりを作り、布糊で固めない
- 幕下力士のさがりは色が自由に選べる
- 関取のさがりは絹糸で作り、布糊で固められる
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