格闘技を観戦していると、試合直前に「水抜き」という言葉を耳にすることがあります。
「水抜きとは格闘技で何をするのか?」「減量とは違うのか?」と疑問に思ったことはありませんか?
水抜きとは、格闘技選手が試合前に行う体重調整法のひとつで、体内の水分を一時的に排出し、計量をクリアするために実施されるものです。
脂肪を落とす通常の減量とは異なり、わずか1〜2日で数キロの体重を落とすこともあるため、正しい知識がなければ身体へのリスクも伴います。
この記事では、格闘技における水抜きの基本的な方法、減量との違い、安全に行うための注意点まで、初心者にもわかりやすく解説していきます。
過酷な調整の裏側には、選手たちの戦略と覚悟が詰まっています。
水抜きの実態を知ることで、格闘技観戦がより深く楽しめるようになるはずです。

水抜きを知ると試合を見る目が変わりますよ!
【記事のポイント】
- 水抜きと減量の違い
- 格闘技での具体的な水抜きの方法
- 水抜きに伴うリスクと安全な実施ポイント
水抜きとは?格闘技で行う体重調整法
格闘技の水抜きとはどんな方法?
格闘技における「水抜き」とは、試合の前に体内の水分を意図的に減らして体重を落とす減量手法のことです。これは、試合前日に行われる「計量」に向けて、一時的に体重を調整するために用いられます。
この水抜きは、脂肪を燃焼させて体重を減らす一般的な減量とは異なり、主に水分を抜くことを目的としています。数時間から1日ほどで急激に数キロの体重を落とすことができる反面、身体への負担は非常に大きくなります。
水抜きの具体的な方法には、以下のようなものがあります。
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サウナスーツを着た状態での有酸素運動
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サウナや蒸し風呂での発汗
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長時間の半身浴
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数日前からの塩分制限(塩抜き)
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「ウォーターローディング」と呼ばれる水分摂取量の操作
これらの方法を組み合わせることで、体内の水分を強制的に排出し、計量時に規定体重を下回るよう調整します。
ただし、水抜きは体内の水分や電解質バランスを崩す危険性があり、脱水症状やめまい、最悪の場合は意識障害に陥るリスクもあります。そのため、安全に実施するためには専門的な知識と十分な準備が必要です。
格闘技において水抜きは、技術や戦略の一環として扱われる重要な工程ですが、健康への影響を常に考慮しなければなりません。
格闘家が水抜きをするのはなぜ?
格闘家が水抜きを行う主な理由は、契約された体重制限に合わせるためです。試合前日に実施される「公式計量」で体重がオーバーしていると、試合に出られない、または罰金が科されるなどの厳しいペナルティがあります。
水抜きによって一時的に体重を減らすことで、実際の体格よりも軽い階級で試合に出場することが可能になります。その結果、試合当日に体重を戻すことで、相手選手よりも大きな体格で優位に戦えるという戦術的な利点が生まれます。
格闘家が水抜きを選択する背景には、以下のようなメリットがあります。
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計量を確実にクリアするための調整が可能
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リカバリー後に大きな体格差で試合に臨める
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本来のパフォーマンスを発揮しやすくなる
一方で、水抜きは非常に過酷な作業であり、体に大きな負担をかけます。特に、焦って短時間で無理に水を抜こうとすると、脱水や意識障害などの危険が高まります。
過去には、水抜き中に体調を崩して緊急搬送されたケースも報告されており、知識不足や準備不足が大きなリスクとなります。
そのため、格闘家にとって水抜きはただの減量方法ではなく、計量を乗り越えるための「最終手段」として位置付けられています。安全かつ効果的に行うには、自身の体調や状態を正しく把握し、計画的に準備を進める必要があります。
水抜きとは?減量との違い
格闘技における「減量」と「水抜き」は似ているようで、本質的にはまったく異なるアプローチです。この2つの違いを明確に理解することが、健康的かつ効果的な体重調整には欠かせません。
まず、減量とは脂肪や筋肉量を段階的に落として、体全体を軽くしていく過程のことです。試合の数週間〜数ヶ月前から始め、食事管理やトレーニングによって無理のない体重調整を目指します。
一方、水抜きは体脂肪を減らすのではなく、体内の水分を一時的に排出することで、短時間で急激に体重を落とす方法です。計量の直前1〜2日に集中して行われるのが一般的です。
この2つの違いをわかりやすく整理すると、以下のようになります。
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減量:週単位〜月単位で実施する長期的な調整
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水抜き:1〜2日で行う短期集中型の調整
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減量:体脂肪や筋肉を減らす
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水抜き:体内の水分を排出する
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減量:健康的な体づくりが目的
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水抜き:計量のタイミングだけ体重を下げることが目的
前述の通り、両者は使い分けるべきものです。減量である程度まで体重を落とした上で、最後の数キロを水抜きで調整するのが一般的な流れです。
ただし、減量に失敗してしまい、その分を水抜きでカバーしようとすると、体への負担はより大きくなります。無理な水抜きは命に関わるため、計画的な減量と適切なタイミングでの水抜きがセットで行われるべきです。
このように、減量と水抜きは目的も方法も違うものであり、正しく理解して実践することが極めて重要です。
水抜きで格闘家は何キロ減らす?
格闘家が水抜きで落とす体重は、選手の階級や体質、計量前のコンディションによって異なりますが、一般的には2〜5キロ程度が目安とされています。
水抜きはあくまで短期間で体内の水分を排出する手段です。そのため、体重の10%以上を一気に落とすような極端な水抜きは非常に危険とされています。安全面から見れば、体重の5%以内に収めるのが望ましいとされており、実際に多くの選手がこの範囲内で調整を行っています。
例えば、60キロの契約体重で試合に出る選手であれば、水抜きによって2〜3キロを落とすのが一般的です。つまり、計量前には62〜63キロある状態から、1日かけて水分を抜き、契約体重に合わせていく形になります。
以下は水抜きで落とされる体重の目安です。
- 体重60kgの選手:2〜3kg程度の水抜き
- 体重70kgの選手:3〜4kg程度の水抜き
- 体重80kg以上の選手:4〜5kg程度の水抜き
ただし、これらはあくまでも目安であり、個々の選手の経験や体質によって限界値は異なります。さらに、どれだけ水分を抜いたとしても、試合でパフォーマンスを維持できなければ意味がありません。
無理に多くの水を抜いてしまうと、当日に体調を戻すことができず、パフォーマンスの低下につながる可能性があります。特に、極端な水抜きを行った場合、以下のようなリスクが高まります。
- 集中力の低下
- 筋力や持久力の著しい減退
- 頭痛や立ちくらみ、けいれん
- 回復時間が足りずに試合当日に影響が残る
このような背景から、水抜きで何キロ落とすかは単純な数字の問題ではなく、「安全に落とせる上限を見極める」ことが非常に重要になります。適切な体調管理と事前の準備を行い、自分の限界を把握したうえで行う必要があります。
水抜きでの減量のメリットと注意点
水抜きによる減量には、競技上のメリットが存在しますが、それと同時に健康への影響やパフォーマンス低下など、慎重に考えるべき点も少なくありません。
まず、格闘技において水抜きが有効とされる主な理由は、契約体重を一時的にクリアすることで、より軽い階級で戦うことができる点にあります。計量後には水分を補給し、体重を元に戻すことで、実際の試合時には相手よりも大きく、強い状態で臨める可能性が高くなります。
このようなメリットがある一方で、水抜きには明確なリスクもあります。無理な水分排出は身体機能を著しく低下させ、選手生命に関わる重大な事故を引き起こすこともあります。
以下に、水抜き減量の主なメリットと注意点をまとめます。
【メリット】
- 計量時に規定体重を確実にクリアしやすくなる
- 試合当日に体格差で優位に立てる可能性がある
- 他の選手に比べてリーチやパワーで有利になることがある
【注意点・リスク】
- 脱水症状による頭痛・めまい・吐き気
- 回復が間に合わないと、スタミナ不足や集中力の低下に繋がる
- 心臓や腎臓など、重要な臓器への過度な負担
- 失敗した場合、試合出場自体が困難になることもある
また、水抜きを成功させるには、体の状態を常に把握しながら適切なタイミングで行う必要があります。水抜きを過信して減量を先延ばしにする選手もいますが、それは非常に危険です。
過去には水抜きに失敗し、試合前日に倒れてしまった例や、緊急搬送され試合をキャンセルせざるを得なくなった事例も報告されています。これには精神的な焦りや、知識不足が関係していることも少なくありません。
このように、水抜きには確かな効果がある一方で、間違った方法で行うと大きな代償を払うことになります。情報を正しく理解し、自分の身体と向き合いながら、安全で現実的な調整を行うことが重要です。
水抜きとは?格闘技選手にとって必要な準備
格闘技における水抜きの正しいやり方
格闘技で行われる水抜きは、体重を一時的に落とす目的で行われる特殊な減量方法です。しかし、体調を崩すリスクが高いため、正しいやり方で行わなければ深刻な結果を招く可能性があります。
基本的な手順としては、まず数日前から水分と塩分の摂取を調整し、計量前日に一気に体内の水分を排出するという流れが一般的です。
以下のステップで実施されることが多くあります。
- ウォーターローディング:数日前から多めの水を飲み、身体に「水を出しやすい状態」を作る
- 水の制限:計量前日は水の摂取を一気に減らし、体が水を排出し続けるようにする
- 塩抜き:塩分を控えることで体が水分を溜め込まないようにする
- サウナスーツ:発汗を促進するためのウェアを使い、有酸素運動を行う
- サウナや半身浴:強制的に汗をかくことで水分をさらに排出
これらを組み合わせて、計量の数時間前までに必要な体重まで落とします。適切なスケジュール管理と、体調の変化を見ながら柔軟に対応することが求められます。
一方で、焦って水抜きを進めすぎると危険です。サウナに長時間入り続ける、運動を休まず行う、水分をまったく摂らないといった行為は、脱水症や意識障害を引き起こす可能性があります。
水抜きを安全に行うためには、以下の点を守ることが大切です。
- 急激な水分制限は避け、段階的に調整する
- 自分の体質や過去の減量経験をもとに無理のない目標を設定する
- 体調に異変を感じたら即座に中止し、専門家の指導を受ける
このように、格闘技における水抜きには明確なやり方がありますが、同時に非常に繊細でリスクの高い作業でもあります。無理をせず、安全性を最優先に考えながら取り組むことが重要です。
お風呂を使った水抜き減量のやり方
水抜きにおいて「お風呂」を活用する方法は、サウナと並んでよく用いられる手法の一つです。特に半身浴は、身体への負担が比較的少なく、家庭でも取り組みやすいため、多くの格闘家に採用されています。
お風呂による水抜きでは、体温を上げて汗を大量にかくことで、体内の水分を外に排出していきます。長時間の入浴により、リラックスしながらも着実に体重を落とすことができるため、最終調整として使われることが多いです。
具体的な実践方法は以下の通りです。
- 浴槽の温度は約38〜40度に設定する
- 半身浴を20〜30分程度行う(首まで浸からず、心臓への負担を抑える)
- 発汗を促すために、室内を温かく保ち、タオルなどで体を覆う
- 1回の入浴の後に10分程度の休憩をはさむ
- これを2〜3セット繰り返す
入浴前後の体重変化を記録しておくと、効果が数値として確認でき、無理な水抜きを防ぐことにもつながります。
また、エタノールやバスソルトを加えることで発汗を促進するケースもありますが、肌が敏感な人や体調が万全でない時は避けたほうが安全です。
注意点として、以下のような点に気をつける必要があります。
- 脱水症状を防ぐため、入浴前は最低限の水分補給をしておく
- のぼせやふらつきを感じたらすぐに中断する
- 発汗後の冷えを防ぐため、身体を冷やさないようにする
- 一人で行わず、可能であれば誰かと一緒にいる
このように、お風呂を使った水抜きは効果的ですが、無理な時間の延長や高温での長時間入浴は身体に大きな負担をかけます。自分の限界を見極めながら、計画的に行うことが大切です。
女性が水抜き減量を行う際の注意点
女性が水抜きによる減量を行う際には、男性とは異なる体質やホルモンバランスの影響を考慮する必要があります。体内の水分保持量や代謝の仕組みが異なるため、無理な水抜きは体調を崩すリスクが高くなります。
特に、月経周期が水分バランスに影響するため、タイミングによっては思うように体重が減らないこともあります。こうした点を理解せずに、男性と同じ方法をそのまま真似してしまうと、かえって体を壊してしまう恐れがあります。
女性が水抜きを行う際の注意点を以下にまとめます。
- 月経周期と重なる時期を避け、体調が安定している時期を選ぶ
- 脱水による肌荒れやホルモンバランスの乱れに注意する
- 栄養が不足しやすくなるため、事前の食事管理を丁寧に行う
- 筋肉量が男性より少ない分、過度な水抜きはパフォーマンス低下を招く
- 低血圧になりやすい体質の人は特に慎重に行う必要がある
また、女性の場合は冷え性や貧血を抱えている人も少なくありません。体温が上がりにくく、発汗しづらいこともあるため、サウナやお風呂の活用においても適切な温度管理と時間設定が求められます。
さらに、ダイエット目的で水抜きを試みる一般女性もいますが、これは非常に危険です。水抜きは競技者の短期的な調整方法であり、健康的な減量法ではありません。
体重の数値だけにとらわれず、自分の身体がどのように反応しているのかを丁寧に観察することが大切です。必要であれば医師やトレーナーに相談し、無理のない方法で行うよう心がけましょう。
格闘家の水抜き減量による死亡リスクと対策
水抜きは短時間で体重を落とす方法として格闘技の世界では一般的に行われていますが、その反面、命に関わるリスクを伴う非常にデリケートな行為でもあります。特に、水分と電解質のバランスが大きく崩れることで、深刻な脱水症状や臓器不全を引き起こすことがあり、過去には選手が意識を失い、試合前に緊急搬送された例も報告されています。
水抜きで最も警戒すべき症状には以下のようなものがあります。
- 脱水による極端な血圧低下
- 発汗過多による電解質の異常(特にナトリウムやカリウムの不足)
- 体温調節機能の低下による熱中症
- 脳の機能低下や意識障害
- 心臓・腎臓への過度な負担
これらが重なると、突然死や多臓器不全に至るケースすらあるため、軽視してはいけません。
こうしたリスクを避けるためには、いくつかの明確な対策が求められます。
- 計画的に減量し、水抜きに頼りすぎない
- 発汗を伴う運動や入浴は時間と頻度を厳密に管理する
- 塩分と水分のバランスを崩しすぎないよう、数日前から調整を行う
- 体調に異変を感じたらすぐに中止する
- 単独ではなく、誰かと一緒に行動することで万が一の際に対応できるようにする
また、信頼できるトレーナーや医療関係者と連携しながら行うことも非常に有効です。自分一人で判断せず、客観的な視点を取り入れることで、安全性を高めることができます。
水抜きは競技のための戦略であり、本来は慎重に扱うべき技術です。無理に短時間で体重を減らそうとすれば、それは単なる危険行為になってしまいます。命を守るためにも、必要な知識と準備をもって取り組む姿勢が欠かせません。
一般人が水抜き減量を行うのは危険?
結論から言えば、一般人が水抜きを行うのは基本的におすすめできません。水抜きは、あくまでも格闘技やボディビルなど、競技における体重制限や見た目の調整を目的とした特殊な技法であり、健康的なダイエットや体重管理とは性質がまったく異なります。
そもそも水抜きは、計量や大会といった「明確な期限」がある選手が、短期間で数キロの体重を落とすための最終手段です。体内の水分を急速に減らすことで、見かけの体重を一時的に下げるだけであり、脂肪が減るわけではありません。
それに加えて、一般の人が水抜きを安易に真似してしまうと、次のようなリスクが非常に高くなります。
- 脱水による頭痛・めまい・吐き気
- 栄養失調や代謝機能の低下
- リバウンドによる体重の増加
- ホルモンバランスの崩れによる体調不良
- 精神的ストレスの増加や摂食障害につながる可能性
これらは、無理な水分制限や誤った知識による行動が原因で発生しやすく、特に体調を崩しやすい人や持病のある人にとっては、深刻な健康被害を引き起こす恐れがあります。
また、SNSや動画投稿サイトで見られる水抜きの様子は、多くが競技者による高度な知識と経験に基づいた調整です。視聴者にはその裏側にある準備やリスク管理が伝わらず、「短時間で痩せられる方法」として誤解されやすいのが現状です。
ダイエットや健康管理を目的とするならば、栄養バランスのとれた食事と定期的な運動を中心に、無理のないペースで体重を落としていく方法が圧倒的に安全で確実です。
水抜きは短期間の見た目や数値にしか影響を与えず、持続的な健康にはつながりません。安易に手を出さず、正しい方法で身体を整えていくことが、長い目で見たときに最も大切です。
まとめ:水抜きとは?格闘技における戦略的な体重調整法
水抜きとは格闘技において、試合前の計量をクリアするために行われる体重調整法の一つです。通常の減量とは異なり、脂肪を減らすのではなく、体内の水分を短期間で排出することにより一時的に体重を減らします。
この手法は以下のような方法で行われます。
- サウナスーツを着ての運動や半身浴
- サウナでの発汗
- ウォーターローディングや塩分制限といった事前準備
格闘家はこの水抜きを通して2〜5キロほど体重を落とすことが多く、試合当日には水分を補給して元の体重に戻すことで、相手より大きな体格で試合に臨むことが可能になります。
ただし、水抜きは身体に大きな負担をかける方法でもあり、適切な知識と準備が不可欠です。脱水症状や体調不良を引き起こすリスクがあるため、安全性を最優先に考え、無理のない範囲で計画的に実施することが重要です。
格闘技の世界において水抜きは、単なる減量ではなく、戦略の一環として用いられる極めて繊細な調整手段といえるでしょう。

水抜きは慎重に計画してください!