弓道は日本の伝統的な武道であり、競技としても広く親しまれています。
その中で重要なのが、的(まと)までの距離です。
弓道には、近的競技と遠的競技の2種類があり、それぞれで的までの距離やルールが異なります。
この記事では、弓道における的までの距離について詳しく解説し、競技の違いやルール、使用される道具についても紹介していきます。
弓道をこれから始める方や、競技ルールを理解したい方にとって、この記事が参考になることを願っています。
弓道の基本を押さえて、より深く楽しんでみましょう！
【弓道】的(まと)までの距離は何メートル？
弓道は、弓を使って矢を的に当てる競技であり、的までの距離は競技の種類や形式によって異なります。
近的競技と遠的競技の2つの主要な競技形式があり、それぞれで定められた距離やルールが存在します。
まず、近的競技では、射手が的に向けて矢を放つ距離が28mに設定されています。
この距離は、全日本弓道連盟の公式競技規則で統一されており、日本全国どの道場でも同じ距離で競技が行われます。
的の大きさは直径36cmで、通常「霞的（かすみまと）」という白と黒の同心円模様が描かれた的が使用されます。
一方、遠的競技では、射手と的の間の距離が60mと、近的競技の倍以上になります。
的の大きさも異なり、遠的競技では直径1mの大的が使われます。
これにより、距離が長くなった分、的が大きくなり、遠くからでも的を視認できるよう工夫されています。
弓道において的までの距離は、ただ的を狙うための要素だけでなく、射手の技術、集中力、そして弓を引く力を試す大事な基準となっています。
したがって、競技者は距離に応じた技術を磨き、競技の目的に応じた練習を行う必要があります。
近的競技での的の距離とサイズについて
近的競技は、弓道の中で最も一般的な形式で、学校の弓道部や道場での練習や試合でよく見られます。
近的競技では、射位（弓を引く位置）から的までの距離は28mです。
この距離は、日本全国どこでも同じであり、全日本弓道連盟の規則で統一されています。
的のサイズも重要で、直径36cmの的が標準的に使われます。
特に、霞的（かすみまと）は白と黒の同心円が描かれた的で、競技や練習で最もよく使われています。
的中の際に、白と黒のコントラストがわかりやすいため、射手にとっても命中確認がしやすくなっています。
近的競技では、的までの距離が28mと固定されているため、選手は正確な射法や集中力が重要になります。
また、矢が的に当たるまでの飛距離が比較的短いため、矢の飛行軌道を安定させることが大きな課題となります。
そのため、弓の引き方や放つタイミングに細心の注意を払い、的中率を高めるための練習が必要です。
遠的競技における的までの距離とは？
遠的競技は、弓道の中でも特に挑戦的な競技で、射距離が60mと、非常に長い距離で行われます。
この距離は、近的競技と比べると2倍以上あるため、射手にはさらなる技術や集中力が要求されます。
遠的競技で使用される的は直径1mと非常に大きく、遠くからでも狙いやすいように設計されています。
遠的競技は、広いスペースが必要なため、限られた道場や専用のフィールドでしか行われないことが多いです。
そのため、近的競技が主流の弓道道場では、遠的競技の機会が少なく、国民体育大会や全国選抜大会のような大規模な大会で主に実施されます。
また、遠的競技では風や気候の影響を強く受けやすいという特徴があります。
60mの長距離で矢を放つため、風向きや風速が的中率に大きく影響します。
そのため、選手は環境条件を考慮した矢の放ち方や角度を調整する技術が求められます。
遠的競技では、力強く正確な射法が重要となり、長距離であっても的を捉えるための高度な技術が必要です。
近的と遠的の違いは？それぞれの競技概要
弓道には、近的競技と遠的競技の2つの競技形式があり、それぞれに異なる特徴とルールがあります。
まず、近的競技は、28mという短距離から的を狙う競技です。
的のサイズは直径36cmで、射手の技術や集中力を試す競技です。
近的では、的までの距離が短い分、射手は正確な射法を求められます。
例えば、矢を放つ際の姿勢やリリースタイミングが少しでも乱れると、的中率が下がるため、細部までの技術が重要です。
一方、遠的競技は、60mの長距離から1mの大的を狙います。
遠的では、風の影響や、矢が飛ぶ時間の長さによる外的要因を考慮する必要があるため、弓の力強さや矢の飛行軌道が大きな鍵となります。
また、遠的競技は近的に比べて体力や精神力が試される場面が多く、長距離に対応できる射手のスキルが必要です。
これらの競技は、それぞれ異なる技術を求められるため、近的と遠的をバランスよく練習することで、弓道全体のスキルアップが期待できます。
弓道における射距離の歴史とその理由
弓道の射距離には、長い歴史的背景があります。
近的競技での28mという射距離は、武徳会時代に遡ります。
武徳会では、弓道の技術を伝承し、統一的なルールを定めました。
その際、15間（約28m）という距離が標準とされました。
これは、戦国時代における槍兵と弓兵の配置距離を参考にして決められたものでした。
槍兵と弓兵の間隔が約12間（約22m）で、そこからさらに3間（約5m）を加えた距離が、現在の28mという距離に転じたと言われています。
一方、遠的競技の60mという距離は、明治時代に武士の弓術が武道として発展する過程で定められました。
この60mは、当時の弓の射程距離や弓具の発展に合わせた距離とされており、弓道の技術を最大限に活かすために適した距離とされています。
現在では、これらの距離が競技規則として定められ、弓道の伝統を守りつつ、現代の技術に応じた射法が求められています。
弓道の試合で使用される的の種類について
弓道の試合では、霞的（かすみまと）をはじめとするさまざまな的が使用されます。
霞的は、白と黒の同心円が描かれた的で、最も一般的に使用される的です。
この的は、近的競技で広く使われており、白と黒のコントラストが的中確認をしやすくしています。
また、星的（ほしまと）という的もあり、これは大学の公式戦などでよく見られます。
星的は中心が黒く塗られ、その周りは白一色で、的心を狙う技術が試されます。
一方、全日本実業団の大会などでは、三色的という的が使用されることがあります。
この的は、外から内へ白、赤、緑の順に色が塗り分けられており、視覚的にインパクトがあります。
これらの的は、それぞれ競技の形式や大会ごとに異なり、試合前にどの的が使用されるかを確認しておくことが重要です。
また、的のサイズや種類は、競技者のレベルや大会のルールに応じて変わるため、練習段階でいろいろな的を使用することが求められます。
近的と遠的の競技方法とルールの違い
近的競技と遠的競技は、距離だけでなく競技方法やルールにも違いがあります。
近的競技では、28mの距離で霞的を使用し、的中数を競います。
これは、的に何本の矢が当たったかを基準に勝敗を決めるもので、シンプルでありながら正確な技術が求められます。
一方、遠的競技では、60mの距離で的中数だけでなく得点制も採用されることがあります。
得点制の場合、的の中心に近いほど高得点が与えられ、競技者の精度がより細かく評価されます。
例えば、中心に当たれば10点、外側に行くほど減点され、総得点で順位を決める形式です。
また、同中競射というルールがあり、同じ的中数だった場合、射手たちが一射ごとに勝敗を決するための競技が行われます。
同中競射には、射詰（いづめ）と遠近（おちこち）の2つの方法があり、それぞれ異なる競技方式で行われます。
これらの競技方法を理解し、的中数や得点に応じた戦略を持つことが、勝利へのカギとなります。
弓道の道具と的に関するポイント
弓道では、使用する道具や的も非常に重要な役割を果たします。
弓は、竹やグラスファイバーなどの素材で作られており、競技者の体格や筋力に合わせて選びます。
竹弓は伝統的な素材で、美しいしなりが特徴ですが、手入れが必要です。
一方、グラスファイバー製の弓は、手入れが比較的簡単で耐久性も高いため、初心者や若い選手に好まれることが多いです。
矢も同様に、竹製やジュラルミン製、カーボン製などがあり、耐久性や飛距離を考慮して選ばれます。
特に、遠的競技では、矢の飛行が長くなるため、軽くて風の影響を受けにくいカーボン製の矢が多く使用されます。
また、的も重要な要素で、霞的や星的などの種類に応じて狙う技術が求められます。
的のサイズや色は、競技の種類や大会のレベルによって異なるため、練習の段階から様々な的で練習することが重要です。
初心者でも安心！弓道の練習ステップとは
弓道は、初心者でも安心して始められる武道です。
基本的には、段階を踏んだ練習が重要で、まずは徒手練習から始めます。
徒手練習では、弓や矢を持たずに、弓道の基本動作である射法八節（しゃほうはっせつ）を習得します。
その後、ゴム弓を使った練習や、巻藁に向けて弓を引く巻藁練習を行い、徐々に矢を放つ感覚を身につけていきます。
最終的には、的に向かって矢を放つ的前練習へと進みます。
初心者の場合、的前に入るまでには時間がかかるかもしれませんが、基礎をしっかりと習得することで、技術の向上が期待できます。
また、弓道は一度に覚えようとせず、少しずつ段階を踏んでいくことが上達の近道です。
まとめ
弓道は、近的競技と遠的競技の2つの形式に分かれており、それぞれに異なる的までの距離やルールがあります。
近的競技では28m、遠的競技では60mの距離で行われ、それに合わせた的のサイズや道具が使用されます。
弓道の技術は、正確な射法だけでなく、的までの距離を理解し、それに応じた練習を行うことが重要です。
また、使用される道具や的の種類についても知識を深め、競技の特性を理解することが競技者としてのスキル向上に繋がります。
弓道は、距離や道具の選び方、競技ルールを理解することで、より深く楽しむことができる競技です。