格闘技のサブミッションとは一体どのような技術なのか、気になって調べている方も多いのではないでしょうか。
打撃だけが格闘技の魅力ではありません。力に頼らず、技術とタイミングで相手を制する「サブミッション」は、試合を決める重要な要素として注目されています。
この記事では、サブミッションの基本的な意味から、関節技・絞め技などの具体的な種類、総合格闘技や柔術・プロレスにおける使われ方まで、初心者の方にもわかりやすく丁寧に解説していきます。
安全性を高めるためのルールや、技を使う際の注意点など、実戦にも役立つ情報もご紹介します。
「格闘技のサブミッションとは？」と疑問に思ったあなたにこそ、読んでほしい内容が詰まった記事です。最後までぜひご覧ください。
【記事のポイント】
- サブミッションの基本的な意味
- 技の種類や代表的な技
- 総合格闘技や柔術などでの実践的な使われ方
格闘技のサブミッションとは？
サブミッションとは何を指す？
サブミッションとは、格闘技における「相手に降伏を促すための技術」を指します。日本語では「極め技」とも訳され、主に関節を極める、首を絞めるなどして、相手の自由な動きを封じることを目的としています。
本来は「submission」という英単語で、「服従」「降伏」といった意味を持ちます。この言葉が転じて、格闘技の文脈では「相手が戦意喪失するか、自発的に試合を止めるように仕向ける技」の総称として使われています。つまり、打撃で倒すのではなく、技によって戦意を奪い勝利するスタイルです。
サブミッション技は、以下のような種類に分類されることが多いです。
- 関節技（アームバー、ヒールフックなど）
- 絞め技（リアネイキッドチョーク、三角絞めなど）
- ストレッチ技（コブラツイスト、キャメルクラッチなど）
- 締め技（ベアハッグ、ヘッドロックなど）
それぞれが異なる身体の部位や原理を活用しており、力任せではなく技術と知識が勝敗を分ける分野でもあります。
また、サブミッションは試合のフィニッシュ手段としてだけでなく、相手の体力や集中力を削ぐ「痛め技」としても使われることがあります。そのため、単に勝つための手段というよりも、戦術の一環としての役割も持ち合わせているのです。
このように、サブミッションは格闘技の奥深さを象徴する技術体系であり、単なる技の1つではなく、試合全体の流れを左右する大きな要素といえます。
総合格闘技でのサブミッションとは？
総合格闘技（MMA）におけるサブミッションは、試合をフィニッシュするための重要な武器として活用されています。
パンチやキックといった打撃技に加え、組み技や寝技の攻防があるのが総合格闘技の特徴です。サブミッションはこの中でも、主に「寝技」の局面で使われます。選手は相手の体勢や隙を見て、関節や首に狙いを定め、技を極めていきます。
具体的には、以下のような場面でサブミッションが使われます。
- テイクダウン後に相手を抑え込んだ際に仕掛ける
- 相手のミスや隙を突いて一瞬で関節を極める
- ガードポジションから反撃に転じる手段として使用
- 長時間の打撃戦で消耗した相手に対して一気に決着を狙う
特に印象的なのは、「打撃で劣勢だった選手がサブミッションで逆転勝利する」といった場面です。これによって、サブミッションは「最後まで勝敗がわからない」総合格闘技の魅力を支える重要な要素とも言えます。
また、サブミッションを成立させるには以下のスキルが必要です。
- 柔術やレスリングに基づいたポジショニング能力
- 関節や筋の構造に対する正確な理解
- 技の仕掛けと解除のタイミングに対する判断力
一方で、サブミッションにはリスクも伴います。相手に読まれれば、逆にカウンターを食らう可能性もあるため、常に冷静な判断と素早い対応が求められます。
このように、サブミッションは総合格闘技の戦術の中心に位置しており、選手の力量を測る一つの指標にもなっています。
サブミッションの関節技はなぜ重要？
関節技は、サブミッションの中でも特に重視される技術であり、試合の決着手段として高い効果を発揮します。
関節技の最大の特徴は、「相手の関節を本来の可動域を超えて曲げる、または捻じる」ことでダメージを与える点にあります。この動作により、相手は激しい痛みを感じたり、動きが制限されたりします。場合によっては、タップアウト（降伏の意思表示）を引き出すことも可能です。
なぜ関節技が重要視されるのか、その理由はいくつかあります。
- 打撃が通じにくい相手にも有効
- 筋力差を技術でカバーできる
- 確実にフィニッシュを狙える手段である
- 試合をコントロールしやすくなる
例えば、体格差がある相手との対戦では、力比べでは不利になることがあります。しかし、関節技を駆使すれば、相手の一部を固定して動きを封じ、勝機を見出すことができるのです。
さらに、関節技には種類が豊富で、腕、肘、膝、足首など多くの部位に対して仕掛けることができます。これにより、試合中のあらゆる状況に応じた対応が可能となります。
ただし、関節技には注意点もあります。
- 無理に極めると相手に重傷を負わせる危険がある
- 一度失敗するとポジションを失いやすい
- 技が決まらないとスタミナの消耗につながる
このようなリスクを理解した上で、安全かつ効果的に使用するためには、緻密なトレーニングと高い判断力が不可欠です。
関節技は、単に技を掛けるだけでなく、相手との駆け引きや読み合いを含む高度な技術です。そのため、関節技を習得することはサブミッションを極めるうえで避けては通れない道と言えるでしょう。
サブミッションの技一覧
サブミッション技には非常に多くの種類があり、それぞれに異なる目的や効果があります。ここでは、特に代表的な技を厳選し、分類ごとに紹介します。
まずは、もっとも基本的かつ使用頻度の高い関節技から見ていきましょう。
- アームバー（腕ひしぎ十字固め）
仰向けの状態から相手の腕を自分の足と腕で固定し、肘関節を伸ばしてダメージを与える技です。ブラジリアン柔術をはじめ、柔道や総合格闘技でも非常に多く見られます。 - キムラロック（肩関節技）
相手の腕を背中側にねじり上げる技で、肩関節に強い圧力をかけます。フィギュア４と呼ばれる腕の組み方が特徴で、体勢を問わず狙えるのが強みです。
次に、絞め技の代表例をいくつか紹介します。
- リアネイキッドチョーク（背後からの絞め技）
相手の背後から両腕で首を絞める技です。動脈を圧迫し、意識を失わせることができます。サブミッションの中でも最も成功率が高い技のひとつです。 - 三角絞め
相手の腕と首を自分の両脚で三角形に挟み、頸動脈を締める技です。下からでも仕掛けられるため、守勢からの逆転技としても使われます。
続いて、ストレッチ系や痛め技と呼ばれる技もあります。
- キャメルクラッチ
うつ伏せにした相手の上半身を反らせるように引き上げる技です。背中や腰に大きな負担がかかります。主にプロレスで見られる技です。 - コブラツイスト
相手の片腕と胴体をひねりながらロックする技で、身体をねじるようにしてダメージを与えます。こちらもプロレスでよく使われる代表的なサブミッションです。
このように、サブミッション技は非常に多彩であり、関節、首、筋肉、神経など様々な部位にダメージを与えることができます。
実際の試合では、相手の動きや反応を見ながら最適なタイミングで技を選ぶ必要があり、技術だけでなく判断力も問われるのが特徴です。
選手によって得意技は異なり、どの技をどのような状況で選択するかが勝敗に大きく関わってきます。
サブミッションは柔術でどう活用される？
ブラジリアン柔術において、サブミッションは非常に重要な役割を果たしています。
柔術は「力に頼らず、技術で勝つ」ことを重視する武道であり、その中でもサブミッションは相手の体勢や動きを利用して降伏を引き出すための技術体系です。直接的な打撃は基本的に禁止されているため、サブミッションは勝敗を決するための主要な手段になります。
柔術におけるサブミッションの特徴には以下のような点があります。
- 下のポジション（ガード）からでも仕掛けられる
- 小柄な選手でも大きな相手を制圧できる
- 練習で反復可能なため、技術の精度を高めやすい
- 極め切る前に相手がタップすることで安全性が保たれている
例えば、柔術の代表的なサブミッションには以下のようなものがあります。
- アームバー（関節技）
- オモプラッタ（肩関節への技）
- トライアングルチョーク（三角絞め）
- ボウ・アンド・アロー・チョーク（襟を使った絞め技）
これらの技は、柔術特有の「ポジションコントロール」を経て仕掛けられることが多く、技を極める前に優位な体勢を取るという流れが基本です。
一方で、柔術でのサブミッションには注意点も存在します。
- 技をかけるタイミングを誤ると体勢を崩される
- 初心者同士の練習では怪我のリスクがある
- 防御技術が身についていないと簡単に極められてしまう
このように、柔術におけるサブミッションは、勝利をつかむための直接的な手段であると同時に、体格やパワーに頼らない高度な戦略の一部でもあります。
上級者になるほど、見えない準備や誘導があり、単に技を知っているだけでは極めることは難しくなります。
そのため、柔術を学ぶ際にはサブミッションだけでなく、ポジショニングや体重移動など、全体の流れを理解することが重要です。
格闘技のサブミッションとは？仕組みと実戦での役割
サブミッションはプロレスでどう使われる？
プロレスにおいて、サブミッションは試合を彩る重要な要素の一つとして活用されています。
プロレスはエンターテインメントの要素が強く、観客を楽しませるために技の見せ方や展開の構成に工夫が凝らされています。その中でサブミッションは、相手を制圧するだけでなく、緊迫感やドラマを演出するためにも使われます。
プロレスで使われるサブミッション技には、以下のような特徴があります。
- 長時間かけて相手を苦しめる「痛め技」としての使い方
- 一気に極めて勝負を決める「決め技」としての演出
- 特定のキャラクターやファイトスタイルに合わせた技の選択
例えば、以下のような技が代表的です。
- スリーパーホールド（後ろからの絞め技）
- フィギュアフォー・レッグロック（脚の関節を締め上げる技）
- ボストンクラブ（背中や腰に負担をかけるストレッチ系の技）
- キャメルクラッチやコブラツイストといった視覚的にもインパクトのある技
これらの技は、観客に技の威力や選手の苦しみを伝えるために、極める過程がゆっくりと行われることが多く、技のかけ方や反応にも演出が加えられます。
一方で、実際にプロレスラー同士の攻防の中で極まることもあり、選手の体への負担が大きい場面も見られます。特に長時間にわたるサブミッションの応酬は、体力を消耗させ、試合展開に大きな影響を及ぼします。
また、プロレスでは反則になるサブミッションも存在します。たとえば、喉を圧迫する「チョーク攻撃」は多くのルールで禁止されており、審判のカウントで技を解除しない場合には反則負けとなることもあります。
このように、プロレスにおけるサブミッションは単なる勝敗を決める手段ではなく、試合全体を盛り上げるための重要な役割を担っています。
サブミッションのメリットと注意点
サブミッションには多くの利点がありますが、同時に注意すべき点も少なくありません。技術的にも心理的にも奥が深い分野であるため、正しい理解と使い方が求められます。
まず、サブミッションのメリットは以下の通りです。
- 打撃を使わずに勝利を収めることができる
- 相手にダメージを与えるだけでなく、精神的プレッシャーも与えられる
- 力ではなく技術を活かすことができるため、体格差を埋めやすい
- 試合の流れをコントロールしやすくなる
例えば、柔術や総合格闘技では、関節技や絞め技を駆使して相手を封じ、タップアウトを狙う戦術がよく見られます。このような技は、相手が反撃する余地を減らし、試合の主導権を握るうえで効果的です。
ただし、サブミッションには以下のような注意点も存在します。
- 効果が出るまでに時間がかかる場合があり、体力を消耗しやすい
- 技が未熟だと逆に体勢を崩して不利になることもある
- 相手が極められないように防御のスキルを持っている場合、決めるのが難しい
- 無理に極めると、相手に深刻な怪我を負わせてしまう可能性がある
このため、サブミッションを練習する際には以下の点を意識する必要があります。
- 技の正確なフォームを習得すること
- 相手とのポジショニングを意識してタイミングを計ること
- 無理な力任せの極め方を避けること
- 反応が遅れた場合に備えて、すぐに解除できる準備をしておくこと
特にスパーリングや実戦では、相手がすぐにタップできる状況を整え、安全面に配慮した練習が重要です。
このように、サブミッションは格闘技において非常に有効な手段であると同時に、慎重な取り扱いが求められる技術です。
タップアウトとは何を意味する？
タップアウトとは、格闘技の試合において「これ以上戦えない」「降参する」という意思を示すための行動です。
サブミッション技をかけられた選手が、自らの身体や安全を守るために手を叩いたり、声で意思表示をすることで、試合を中断させる手段として用いられます。この動作が「タップ」と呼ばれ、それが試合の決着となるため、「タップアウト」と表現されます。
タップアウトにはいくつかの方法があります。
- 自分の体やマットを手で叩く（通常は3回以上）
- 声で「ギブアップ」や「止めて」などと明確に伝える
- 意識を失う前の合図として足でマットを叩くこともある
このように、タップアウトは命や健康を守るために非常に重要なルールであり、相手選手や審判がそれを確認した時点で試合は即座に終了となります。
多くの競技では、タップアウトの瞬間を見逃すことがないよう、審判の位置取りや反応も重要な役割を果たします。特に首を絞める技の場合は、失神のリスクがあるため、選手の反応や目の動きなどから危険な兆候を察知する必要があります。
ただし、タップアウトには注意すべき点もあります。
- タップの判断が遅れると、関節や筋を損傷するリスクが高まる
- 見込み一本（危険を察して審判が試合を止める）と混同しないようにする必要がある
- 感情的になって我慢しすぎると、重大な怪我につながる可能性がある
このため、選手自身が無理をせず、状況を的確に判断する冷静さも求められます。
タップアウトは敗北を意味する行動ではありますが、安全を優先するという点で非常に尊重されるべき選択です。プロの選手でもタップアウトを選ぶ場面は多く、それは「負け」ではなく「正しい判断」として評価されることも少なくありません。
サブミッションの歴史と進化
サブミッションの技術は、格闘技の歴史とともに長い年月をかけて発展してきました。
古代から人類は、打撃だけでなく「組み付き」による制圧を行ってきたことが記録されています。ギリシャのパンクラチオンや中国武術、インドの武術など、古代の戦いやスポーツの中にも、現在のサブミッション技の原型とされる動きが見られます。
その後、近代において注目を集めたのが、柔道やブラジリアン柔術の登場です。日本で発展した柔道は、抑え込みや関節技、絞め技といった技術を体系化し、世界中に普及しました。
そして、20世紀初頭から中盤にかけて、柔術の技術がブラジルへと伝わり、そこから派生したのが「ブラジリアン柔術」です。この流派では、より実戦的かつ効率的な形でサブミッションの技術が洗練されていきました。
さらに、1990年代に入り総合格闘技（MMA）の競技が世界的に広まり、サブミッション技術は新たな進化を遂げます。異なる格闘スタイルの選手たちが同じルールで戦う中で、寝技や関節技の有効性が証明され、多くのファイターがサブミッションの技術を学ぶようになりました。
現在では、以下のような要素が融合し、サブミッションの技術はより複雑で戦略的なものとなっています。
- 柔術・レスリング・サンボなどの技術融合
- 科学的な身体操作理論の導入
- 映像分析やデータによる技術改善
- 安全面への配慮から、タップアウト文化の定着
このようにして、サブミッションは単なる技術から、戦術、心理戦、安全管理などを含む複合的な要素へと進化してきたのです。
今でも新たな技が考案され、実戦で使われ続けており、サブミッションは今後もさらに進化していくと考えられます。
サブミッション上達のための練習法
サブミッションを上達させるためには、単に技の形を覚えるだけでは不十分です。実戦で通用するレベルにまで引き上げるには、段階的なトレーニングと多角的な視点が必要です。
まず基本となるのは、技の構造を正確に理解することです。関節技や絞め技には、それぞれ特定の関節や血管を狙うポイントがあり、正しい体の使い方を学ばなければ極まりません。
そのための練習方法としては、以下のようなステップが効果的です。
- ポジション別の反復練習（例：マウントポジションからのアームバー）
- ミットやパートナーとの軽いスパーリングで動きの確認
- 指導者によるフォームの矯正とポイント解説
- テクニックごとの詳細な分解練習（体の位置、角度、重心の使い方など）
次に重要なのが、「タイミング」と「判断力」の育成です。サブミッションは力だけでかけるものではなく、相手の動きや隙を見て瞬間的に仕掛ける必要があります。そのためには、実践形式でのスパーリングや限定ルールでの反復が有効です。
例えば以下のような練習を取り入れると効果的です。
- サブミッション限定スパー（打撃なし、極め技のみの攻防）
- 特定のポジションからスタートするシチュエーションスパー
- 自分より上級者との対戦による実戦感覚の養成
さらに、自分の動きを客観的に振り返ることも欠かせません。動画撮影を行って自分の動きを分析したり、強い選手の試合映像を見て学ぶことも技術向上につながります。
一方で、無理に技をかけようとすると怪我につながるため、練習中は以下の点に注意しましょう。
- 自分も相手も無理のない範囲で技を試す
- タップアウトを見逃さないようにする
- 疲労時にはサブミッションの練習を控える
- 必ず指導者や監督のもとで行うこと
サブミッションは、習得すればするほど応用の幅が広がり、試合の主導権を握る武器になります。
反復練習を続けながら、自分の体格やスタイルに合った技を見つけ、磨き上げていくことが上達への近道です。
まとめ：格闘技のサブミッションとは？
格闘技におけるサブミッションとは、打撃ではなく技術によって相手を制し、降伏を促す「極め技」の総称です。関節技や絞め技を中心に、ストレッチ技や締め技など多彩な技術体系が含まれます。
サブミッションの魅力は、力や体格差を超えて勝負を決する点にあります。柔術や総合格闘技では特に重要な位置を占めており、相手の動きやミスを見逃さず、適切なタイミングで技を仕掛ける戦術性が求められます。
技の種類には以下のようなものがあります。
- 関節技（アームバー、ヒールフックなど）
- 絞め技（三角絞め、リアネイキッドチョークなど）
- 締め技やストレッチ技（ベアハッグ、キャメルクラッチなど）
安全面の配慮として「タップアウト」が定着しており、選手が自ら降参を意思表示することで試合が止まる仕組みも整っています。
このように、サブミッションは格闘技の中でも非常に奥深く、多様な技術と戦略が融合した重要な要素です。実戦的でありながらも安全性を重視した進化を遂げており、今後もさらに発展が期待されます。